JIRAIZUKAN

PRODUCTION SIDE

制作サイドが踏む地雷

チーム内の認識ズレによる地雷:Trigger.02

どうせ守られないスケジュールに、今日も命削ってる

「スケジュール?もう提出済みですよ!」
「え、それってどこにあるんでしたっけ?」

──はい、出た。“出したけど誰も見てない”問題。
もっと言えば、“見たところで守られない”問題。

時間をかけてタスクを洗い出し、工程ごとにスケジュールを割り振り、クライアントや関係者とも共有して、ようやく走り出したプロジェクト。
でも、初手から素材が来ない。打ち合わせが延びる。
それでも「公開日は予定通りでお願いします」って…それ、どういう理屈ですか?

スケジュールって、本来“みんなで守る約束”のはず。
クライアントだからといって、一方的にズラしてもOKというルールは、どこにもないんです。

ケーススタディ

ケース1:「提出はしたけど、どこにも反映されてない」

共有ツールにスケジュールをアップしても、「見てませんでした」「そんな期日でしたっけ?」のオンパレード。
“共有”じゃなくて“放置”になっているパターン。

ケース2:「素材が遅れても、納期はそのまま」

「ちょっと遅れちゃってごめんなさい〜」の一言で、5日ズレた素材提供。
でもなぜか、納期は据え置き。調整?制作チームが勝手にやるでしょ?みたいな空気。

ケース3:「スケジュールはただの“お願いリスト”扱い」

本来はプロジェクト全体の“指針”のはずなのに、「この日までにお願いできれば…」という“希望リスト”としか思われていない現実。
その認識のズレが、プロジェクト全体の進行を歪ませる。

解説

この問題の根底にあるのは、「スケジュール=守っても守らなくてもいいもの」というゆるい認識と、
「クライアントが最優先。だから制作側が合わせるのが当然」という、業界に根付いた空気。

でも、ちょっと待ってください。
スケジュールって、“提出したら終わり”の書類じゃなくて、プロジェクトに関わるすべての人が合意し、守るために大人同士で交わした約束です。

クライアントも、ディレクターも、デザイナーも、エンジニアも。
関わる全員が「この日までにこれをやろう」と合意して、ようやく成立するのがスケジュール。

クライアントが「この日までに素材を渡します」と言ったなら、それも“約束”。
そこがズレたら、他の工程も調整されるのが筋。
それを無視して「でも公開日はそのままで!」と言われても、じゃあ誰がその歪みを埋めるのか?って話になります。

そう、だいたい現場の誰かが、命を削ってどうにかしてるんです。

解決策

「提出するだけ」のスケジュールは捨てる

提出だけで満足せず、「みんなで中身を確認する」「どう運用するか合意を取る」ところまでがワンセット。

ズレが生じたら、“その都度見直し”をルールにする

どこか1つの歯車がズレたら、全体にどんな影響が出るのかを明示。
“納期はそのままでよろしく!”を防ぐには、この説明がカギ。

スケジュールは「契約」であると伝える

クライアントにも、「これは私たち全員で守る“約束”です」という前提を共有する。
決して“お願いリスト”ではなく、チーム全員の信頼ベースの協定として扱う。

「クライアントだから変更OK」な空気をやんわり正す

言い方次第で伝え方は変えられる。
「日程調整により納期に影響が出る可能性がございます」など、やんわりとでも“無理なものは無理”の姿勢を伝える。

まとめ

スケジュールは、“ただ提出するもの”じゃない。
そして、“制作側が一方的に守るもの”でもない。

関係者全員が約束したからこそ成り立つ「共通言語」であり、「信頼の証」なんです。

  • ・提出はゴールじゃなくスタート
  • ・クライアントであっても“約束”は守る前提
  • ・スケジュール=チーム全体の設計図であり、信頼の土台
  • ・ズレが出たら、全員で見直す

スケジュールを、ちゃんと“約束”として扱えたとき。
はじめてプロジェクトは、制作現場だけが命を削らずに進められるようになります。

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