JIRAIZUKAN

CLIENT SIDE

クライアントが踏む地雷

クオリティ詐欺 地雷:Trigger.04

“プロの仕事”って何?と問いかけたくなる

「予算も納期もちゃんと伝えてお願いしたのに、なぜこんな仕上がりになるのか…」

WEB制作を依頼したクライアントの多くが、初稿を見た瞬間に愕然とするというのは、業界では珍しくありません。クオリティが低いというだけでなく、こちらの要望が反映されていなかったり、細部の作り込みが甘かったり。

一番の問題は、そうしたズレに対して「このくらいで問題ないでしょ?」という、制作者側の温度感です。そこには“プロとしてのプライド”や“成果への責任感”がまったく感じられません。クライアントにとっての損失は、見た目以上に深刻です。

ケーススタディ

ケース1:訴求力ゼロ。ターゲットも目的も無視されたサイト構成

BtoB企業のコーポレートサイトを依頼したが、納品されたのは飲食店のテンプレートのような見た目重視のサイト。目的は「信頼感」と「事業内容の訴求」だったのに、デザインの流行だけを追っており、中身は空っぽ。誰のためのサイトなのか?という基本すら忘れているようだった。

ケース2:「それって言ってくれないとわかりません」発言に絶句

打ち合わせで方向性をすり合わせたにも関わらず、納品されたデザインが要望と大きくズレていた。修正を依頼すると「そういうのは最初に言ってもらわないと」と逆ギレ気味の反応。プロとしての提案や配慮は一切なく、まるで「発注書通りじゃないと動けないバイト」のような対応だった。

ケース3:とりあえず作った感満載。UXも導線も無視

必要なページ数も、ユーザーの導線設計も伝えてあったのに、出来上がったのはとにかくボリュームが少なく、クリックしたくなる仕掛けも一切なし。全体的に「とりあえず作ったから文句ないでしょ?」というムードが漂っており、ユーザーの行動を想定した工夫は皆無だった。

解説

“プロ”とは、言われたことをただこなすのではなく、依頼の背景や意図を汲み取り、成果につながるように“翻訳”する存在であるべきです。
しかし、最近増えているのは、価格や作業量だけで勝負する“見かけだけの制作会社”。提案力も、目的意識もなく、ただパーツを並べて納品しているようなスタイルが蔓延しています。

これらの会社は、完成度よりも納期優先、成果よりも請求優先。結果的に、クライアントは「何のために発注したのか」が見えなくなり、期待した効果を得られないまま終わってしまうのです。
プロとしての責任感がない制作会社は、見えないコスト(時間・信用・チャンス)を大量に奪っていきます。

解決策

制作前に“目的と成果指標”を共有する

「なぜこのWEBサイトを作るのか」「何を達成したいのか」という目的と、KPIのイメージを明確に伝えておく。プロなら、それに対して設計と施策を組み立てるはずです。

“実績”ではなく“姿勢”を見極める

表面的なポートフォリオだけでなく、「この実績で、どんな目的に対してどう提案したのか」といった話を引き出すことで、その会社の“考える力”をチェックできます。

制作中に“成果視点”の提案があるか見極める

制作中に「もっとこうした方が効果が出ると思います」といった提案があるかどうか。これがない会社は、ただの請負業者。プロの仕事とは言えません。

まとめ

WEBサイト制作は、「形にすること」が目的ではありません。
ユーザーに何かを伝えたり、行動してもらったり、ブランドの価値を高めたりと、必ず“成果”というゴールがあります。だからこそ、「プロに頼んだのに、成果が見えない」という状況は、クライアントにとって最も深刻な損失です。

言われた通りにしか動かない制作会社、自分の責任範囲以外には関心を持たない姿勢、成果より納期重視のスタンス。そんな態度では、クライアントにとっての“パートナー”には到底なれません。

制作会社を選ぶときに重視すべきは、料金表や実績よりも「あなたの成果に本気で向き合ってくれるかどうか」。提案してくれるか?指摘してくれるか?気づいてくれるか?という視点で見ていくことが、失敗しないパートナー選びにつながります。

プロとは、自分の仕事に誇りと責任を持ち、クライアントの目標を“自分ごと”としてとらえられる存在。「それ、プロの仕事ですか?」と感じた瞬間があったなら、その違和感こそが、最も信頼すべき判断材料になるはずです。

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