JIRAIZUKAN

PRODUCTION SIDE

制作サイドが踏む地雷

チーム内の認識ズレによる地雷:Trigger.06

「デザイナーとコーダーの温度差問題」

「ここ、ふわっとアニメーションで動かしたくて」
「この角丸、ちょっとした“こだわり”なんです」
「SPでもPCと同じビジュアルでお願いします!」

――その“こだわり”、誰がどうやって実装する?

素敵なデザイン。でも実装のことがまるっと抜け落ちていると、その素敵さは“負荷”に変わる。
一方、せっかくのこだわりを「再現が難しいから」とあっさり省略されてしまうと、デザイナーの情熱は“無力感”に変わっていく。

現場では日々、デザイナーとコーダーの「熱量のギャップ」が火種になっています。
今回は、そのすれ違いが生まれる背景と、どう向き合うべきかをひも解きます。

ケーススタディ

ケース1:デザインが“作品”になっている

レスポンシブ設計?実装都合?そんなの関係ない!
でも、デザイナーからすると「良いと思ったから出したのに、組めないって何!?」という気持ちも。
「それ、どう組むの?」の連続に戸惑うコーダー、
「なんでこの美しさが伝わらないの?」と悩むデザイナー。

ケース2:「細かすぎる指示→ざっくりOK」問題

1px単位で指示していたのに、急に「そこは雰囲気でいいです」って…
その“雰囲気”を読み解くのが一番つらいのはコーダーだけじゃない。
「どう伝えたら伝わるのか、毎回悩んでます」というデザイナーの苦労も、実は裏にある。

ケース3:「会話になってない会話」

「この動き、イメージできます?」
「“いい感じ”でつけてもらって」
その“いい感じ”の解像度がズレたまま、納品直前で「イメージと違います」の悲劇。

でもデザイナーにとっても、
「イメージの言語化が苦手で…」
「ツール上で動きを伝える手段がなくて…」というもどかしさがある。

解説

この問題の根本には、
「お互いの領域をよく知らないまま“分業”している」ことがあります。

デザイナーは“より良く見せたい”という想いが強く、コーダーは“安定して実装したい”という責任を背負っている。

その結果、
「そこ、そんなに大事だった?」
「いや、めちゃくちゃ大事なんだけど…」
という温度差が静かに積もっていくのです。

さらに、UIデザインツールの進化で「なんとなく再現できているように見える」今だからこそ、“ツール上の美しさ”と“コード上の現実”の間にギャップがあることを再確認する必要があります。

解決策

デザイン前に「技術的に可能か」を軽く相談しておく

「この表現できそう?」の一言で、地雷は回避できる。
“つくる前に話す”が、チームの負荷を激減させます。

コーダーも「こだわりポイント」を理解して優先順位を整理

すべてを完璧に再現しなくてもいい。
「ここが肝なんだな」を把握すれば、効率もクオリティも上がる。

デザイナーも「実装しやすさ」に目を向ける

「この動き、負荷高いかも」と気づけると、無理のない代替案も出しやすい。

お互いに“言語化の努力”をする

「ふわっと」や「いい感じ」で終わらせず、
「なぜそうしたのか」「どう見せたいのか」を共有することで、すれ違いはぐっと減らせる。

“仕様のすり合わせ時間”をスケジュールに組み込む

“納品前のズレ”を防ぐには、実装前の“会話の時間”が一番の近道。

まとめ

デザイナーの「いいものを届けたい」
コーダーの「きちんと動くものを仕上げたい」
そのどちらも、チームにとって大切な“熱”です。

でも、お互いに歩み寄らなければ、
“魅力的な見た目”は“実装困難なトラブル”になり、
“最適なコード”は“意図の伝わらない無味乾燥な画面”になります。

  • ・デザイナーは「その実装、大丈夫かな?」の目線を持つ
  • ・コーダーは「ここが大事なんだろうな」の感度を上げる
  • ・そして、ちゃんと会話する。ちゃんと聞く。

“良いモノを一緒に作る”ためには、“いい距離感と、ちょうどいい共通言語”が必要です。

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