PRODUCTION SIDE
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「急ぎなんですけど、1週間もあればいけますよね?」
…その“軽さ”が地味に効いてくる。要件整理から構成、デザイン、実装、確認、調整まで、どれも時間のかかる工程ばかり。それを丸ごと「1週間でしょ?」とざっくり括られると、まるで“楽な仕事”扱い。
「それってそんなに時間かかるんですか?」という一言も地味に刺さる。
じゃああなたが1週間でやってみて?と心の中で何度つぶやいたか。
納期とは、単なる日数ではなく“工程の積み上げ”。その価値を軽視されると、モチベーションだけでなく信頼関係にも悪影響を及ぼす。
今回は、この“納期の軽視”がなぜ起きるのか?
どう対処すべきか?について掘り下げます。
確かに“1枚”ではあるけど、内容確認・提案・デザイン・フィードバック対応まで含めれば数時間では終わらない。「簡単だから早く」と言われるほど、丁寧な仕事がしづらくなるジレンマ。
ページ構成から導線設計、ライティング、デザイン、コーディング、検証…
実は1ヶ月スパンで考える内容を、丸ごと1週間に圧縮しようとする暴挙。
「やりたいことは決まってるんです!」と語る割に、原稿は未定、素材も未支給、誰が何を用意するのかも曖昧。進行スケジュールも工数も見えないまま、制作側にだけ無言の“段取り”を期待される理不尽。
最終的に巻き取るのは、いつも現場。
「ちょっとぐらいならすぐできるでしょ?」という納期軽視の根底には、制作工程に対する誤解がある。
非制作者にとって、“目に見えるアウトプット”だけが成果であり、その背後にある「調整・検証・思考」の工程は“省略できる部分”だと捉えられがち。
また、「急げばできるでしょ?」という発言は、“急げばクオリティを保てない”という事実を無視している。
納期の無理な圧縮は、以下のような問題を生む
つまり、“急ぎ案件”はコストもリスクも跳ね上がる“高難度プロジェクト”であることを、しっかり共有していく必要がある。
納期希望が出た時点で、「なぜそれでは厳しいのか?」を工程と日数で示す。
「1週間では〇〇のみ対応可能」「このスピードならクオリティ保証は難しい」など、プロの視点で調整案を提示。
納期短縮=労働時間増=コスト増。これを当たり前の文化として定着させる。
クライアント側の遅延があれば、納期見直しが発生することを明文化しておくと安心。
「1週間くらいでできるでしょ?」という軽い一言。
その一言が、プロジェクト全体のバランスを崩す引き金になることは少なくありません。
制作という仕事は、見た目以上に複雑で繊細な工程の積み重ね。
構成を練り、細部を調整し、何度も検証しながら最適解を導いていく。
それが当たり前の流れです。
にもかかわらず、納期だけが勝手に短縮され、クオリティはそのまま求められる。
それはまるで「一流シェフに5分でフルコースを出せ」と言っているようなもの。
無理なスケジュールは、チームの疲弊を招き、修正の連鎖を生み、結果的に誰にとってもメリットのない結末へ向かってしまいます。
制作者として大切なのは、「納期=信用」であることをクライアントにも理解してもらうこと。
急ぎの要望に対しては、「できること・できないこと」を明確に線引きし、“時間=コスト”であることを冷静かつ丁寧に伝えていくことです。
そして何より「クオリティを保つために、時間が必要なんです」というプロとしての姿勢を崩さないこと。
それこそが、本当に信頼されるパートナーシップへの第一歩です。