PRODUCTION SIDE
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「こんな感じのサイトにしたいんです!」と参考サイトのURLを送られてきて、開いてみたら超有名企業のサイト。大手ブランドの洗練されたデザインに、スムーズなアニメーション、緻密に計算されたUI…。
「いや、これ開発費いくらかかってると思ってるんだ…?」と冷や汗をかきながら、「具体的にどの要素を参考にされたいですか?」と尋ねるも、返ってくるのは「全体的な雰囲気が好きなんですよね!」の一言。
この瞬間、プロジェクトの方向性がふわっとしたまま進み、後に「思ってたのと違う…」と言われる未来が見える。
なぜこのような状況が生まれるのか?どう回避すればいいのか?実際のケースを見ながら考えていこう。
「このサイトみたいに、スクロールでコンテンツが切り替わるような動きを入れたい」と言われて開いてみると、JavaScriptで構成されたSPAのハイスペックサイト。開発費が跳ね上がることを説明すると「そんなにかかるんですか!?」と驚かれ、代替案を出しても「うーん、ちょっと違うんだよなぁ」と不満げ。理想と現実のすり合わせが必要になる典型的なパターン。
「高級感あるデザインにしたい」と送られてきた参考サイトは、プロのモデルとハイクオリティな写真を使用した一流サイト。しかし、支給されたのはスマホで撮影された写真。「同じ雰囲気で作れますよね?」という軽いノリに、こちらは冷や汗。素材の力を無視して完成イメージを語られても、思った通りにはなりません。
「この海外サイトのように、ユーザーの動きに応じてコンテンツを出し分ける仕組みにしたい」と希望されるも、独自のシステム開発が必要な規模。予算を確認すると「なるべく安くお願いします」と一言。現実的な仕様に落とし込もうとすると「普通すぎて面白くない」と不満を持たれる。夢だけが先行してしまう“理想暴走型”のケース。
大手企業のサイトは、潤沢な予算と専門チームによる長期開発の結果生まれたもの。デザインだけでなく、UI/UX、コンテンツ戦略、サーバー環境まで徹底的に作り込まれている。
しかし、クライアントは往々にして「雰囲気が良い」という理由だけで目指そうとし、実際の開発コストや工数を考慮しないことが多い。
また、「同じデザインなら同じクオリティになる」と誤解されるが、実際には写真・動画・フォント・インタラクションすべての要素が組み合わさって初めて成立している。
この認識のズレを放置すると、「思ってたのと違う」「もっと安くできると思ったのに」といったトラブルにつながる。
「全体の雰囲気」ではなく、「ナビゲーションの使い勝手」「フォントのスタイリッシュさ」など、具体的にどこを参考にしたいのかを明確にする。
「この機能を実装すると、追加で○○万円かかります」と早めに伝え、現実的な落としどころを提案する。
デザインは素材で大きく変わるため、「高級感を出したいならプロの写真が必要」など、事前にクライアントに説明する。
大手サイトの豪華な機能を全て取り入れようとせず、クライアントの予算と目的に合ったベストな形を模索する。
「このサイトみたいにしたい!」と言われたら、まずは冷静にそのサイトの規模や構造を分析し、現実的な代替案を提示することが重要です。
特に大手サイトは、デザイン・開発・マーケティングまで含めた総合的な戦略のもとに作られているため、単純に「デザインを真似る」だけでは同じクオリティは出せない。
また、予算やリソースの違いを理解してもらうためには、最初の打ち合わせでしっかりと認識をすり合わせることが肝心。
これらのステップを踏むことで、無理のない形で理想に近づけることができるだろう。