PRODUCTION SIDE
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「うちのスタッフがスマホで撮ったやつあるから、これ使ってください」
「わざわざカメラマン呼ばなくても大丈夫でしょ?」
そんな言葉に、目の前が真っ暗になった経験、ありませんか?
クライアントから軽いノリで送られてくるスマホ写真。
解像度・構図・光の当たり方・画質補正…すべてにおいて商用利用には耐えられない。
でも本人は「十分きれいでしょ?」と満足げ。
実際には、スマホ写真を無理やり使えば、どんなにデザインがよくても“全体のクオリティが一気に陳腐化”します。
ビジュアルの印象は、そのまま「ブランドの印象」になって跳ね返ってくるのに。
今回はこの“スマホ写真問題”の背景と、現場ができる対応策を掘り下げます。
背景がぐちゃぐちゃ、ライティングも甘い。
しかも画質が粗くて拡大できない…。結局、デザインではどうにもならない地獄。
ピントが甘く、画質も古く、なぜか飲み会の背景がぼんやりと…。
公式サイトに載せるにはあまりにも厳しい、でも“社長指定”なので言いづらい。
確かに最近のスマホカメラは高性能。
でも商用写真として必要な“照明・レンズ・レタッチ”は、やっぱりプロの技術が必要。
「スマホで撮った写真でも十分」この発言の背景には、
写真の“見た目の良し悪し”と“使えるデータ品質”の違いに対する理解不足がある。
とくにWebや印刷物で使用する写真には、以下のような技術的要件がある。
解像度(dpiやサイズ)
構図と余白(トリミングの自由度)
ライティング(陰影や色味)
ノイズやブレの処理
背景との調和や素材感の統一
スマホ写真は「記録」としては優秀でも、「商用表現」には不向きなことが多い。
さらに問題なのは、「プロに頼む=コスト増」とだけ捉え“ブランド価値”を守るための投資という視点が抜け落ちている点。
「わざわざプロを呼ぶ必要ある?」という軽視の裏には、社内で「コストをかけてる風」を避けたい営業や担当者のパフォーマンス的判断も見え隠れします。
そのツケが、すべて制作サイドにのしかかる構図は、そろそろ変えていくべきです。
事前に「こういう画質・構図では難しい」と例を示すと、主観のズレを防げる。
「売上に直結する」「信頼感に影響する」など、ビジュアルの影響力を具体的に伝える。
「スマホ写真Ver」と「プロ撮影Ver」を並べて見せることで、納得を得やすくする。
「この画質ではA4印刷には耐えられません」など、リスクを共有しておく。
「素材支給時と撮影手配時では金額が変わる」ことを明文化しておくとトラブル防止に。
「明るさ補正」「背景処理」「ノイズ除去」などの編集作業にも時間と技術がかかるため、“素材があるからタダ”ではないという点を事前に伝えておく。
「スマホで撮った写真でいいよね?」という軽い一言の裏には、“写真の重要性”や“品質の影響力”への理解不足が隠れています。
ビジュアルは、第一印象を左右するもっとも強力な武器。
そこに妥協があれば、どれだけデザインを工夫しても伝わる力は半減してしまう。
しかも、画質の悪い写真を“なんとか使えるように加工する”には、技術と時間がかかり、当然ながらそれにはコストも発生します。
こうした認識をクライアントと共有し、必要に応じて“撮影”や“プロによる画像提供”を正当に提案できるようにしておきたいですね。