PRODUCTION SIDE
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「それ、いったん持ち帰って検討しますね」
「このへんは現場がなんとかしてくれると思います!」
「納期?えーと……たぶん○○日にはいける、かな?」
――その“たぶん”、どこから湧いてきた?
クライアントとの打ち合わせが、“よく分かってない者同士”で進んでしまうと、現場には「謎タスク」と「無茶なスケジュール」だけが降ってきます。
しかも営業は、制作について深く理解していないのに、「現場には実績あるスタッフがいるんで!お任せください!」とカッコつけて、何でも受け入れてくる。
現場から見れば、そんなの「詰んでる」状態。
調整の余地もないまま、どうにかこうにか間に合わせる日々が続いていきます。
今回は、なぜ営業と現場でここまで認識がズレるのか?
そして、その“すれ違い”をどうすれば防げるのか?を整理します。
クライアントとの打ち合わせに制作現場は同行せず、営業だけが出席。
要件の詰めが甘いまま「こういう感じで進めるって話になってます」と現場に丸投げ。要件の確認も曖昧なまま、なぜか“仕様確定”として案件が進み出す現場あるあるの恐怖。
「画像はあとで探します」「構成はそちらで考えてください」と、すべて制作任せ。
営業はそれを「了承しました!」と笑顔で持ち帰ってくる。
「会員管理+LINE連携+CMS連動で通知…できますか?」
予算にもスケールにも合わない構想を、判断せずそのまま持ち帰ってくる営業。
そのたびに現場は「仕組み上できません」「代替案ならこうです」と説明するはめに。
精査もせず運ばれてきた“夢プラン”の火消しに、時間と神経が削られる。
“とりあえず持ち帰る”は、親切じゃなくて無責任な放流。
判断のフィルターがないと、現場が詰みます。
この問題の根本には、営業が“制作のプロ”としての理解を持たないまま、プロとしてクライアントと対峙しているという構造があります。
「ワイヤーフレームって何ですか?」「素材の締切っていつでしたっけ?」「バナーってすぐ作れるんですよね?」そうした基礎的な工程感覚があいまいなまま、堂々と打ち合わせに臨んでしまう。
しかも、クライアント側の担当者もまた“制作のことはよくわかっていない”ケースが多い。
つまり、「リニューアルってどうやって進めるの?」というクライアントと、「CMSって何でしたっけ?」という営業が、“わからない同士”で打ち合わせしている現実。
さらに、「わからないからとりあえず全部持ち帰ります」「判断できないけど、とりあえずOKしておきます」こうした“プロの顔をした思考停止営業”が、結果的に現場に爆弾を持ち帰ってしまう。
最終的にそのツケは、「現場がなんとかするしかない」という形で回収され、プロジェクトの健全性は、静かに、でも確実に削られていくのです。
ワイヤー作成、原稿フィードバック、CMS実装など、どこにどれだけ時間と判断が必要かを体感レベルで理解させることが重要。
「仕様の齟齬」や「認識のズレ」は、早期の顔合わせで防げる。営業と制作で一緒に話す文化を。
持ち帰り体質は、信頼性を下げるだけ。最低限の判断力と提案スキルを育てていく。
“未確定”なのに“納期だけ確定”してる状況を撲滅。曖昧なまま走り出すことを営業・クライアントにも可視化して共有。
営業が「とりあえずOKしてくる」、クライアントも「何が分からないのか分からない」、現場だけが「なんとかするしかない」。
この構図、実は珍しくもなんともありません。でも、いつかどこかで爆発します。
制作の現場は魔法使いじゃない。
“誰かの判断停止”の尻ぬぐいに日々命を削っていたら、チームは疲弊し、プロジェクトの品質は落ち、結果的にクライアントにも迷惑がかかる。
「なんとなく通った話」でプロジェクトを動かすのはもう終わりに。
ちゃんと分かってる者同士で、ちゃんと現実的な計画を立てる。
それが、“ズレないチーム”の第一歩です。