MANAGEMENT SIDE
MANAGEMENT SIDE
「はい、大丈夫です」「わかりました、問題ありません」
――その完璧な返事、どこまで本気?
仕様の見落とし、伝達ミス、注意点の未反映。
確認したつもり、聞いたつもり、理解したつもり。でも中身はスカスカ。
現場で増殖中の“地雷スマイル”
素直そうに見えて、実はすれ違いの温床。
笑顔の裏で本当の理解が追いついていないまま、「確認したつもり」で業務が進んでいく。その背景にあるのは、知識不足か、責任感の欠如か、それとも報連相の文化が育っていない職場環境か。
今回は、“わかりました”の一言で爆発する地雷を、どう見抜き・どう回避すべきかを掘り下げます。
構成案を提示すると、相手は満面の笑顔で「はい、わかりました!」と即答。しかし、後日届いたデータは指示と全く異なる内容。「それって言ってましたっけ?」と記憶にもない様子。表面的な返事に安心し、確認を省いたことで手戻りが発生した典型的な“地雷スマイル”ケース。
「この通りでお願いします」と伝えたはずが、仕上がったデータは想定外の内容。「え、そういう意味だったんですか?」と、そもそも指示を正しく理解していなかった様子。分からなくても確認せず、自分の中で処理して進めてしまう“聞けない系地雷”の典型パターン。
クライアントの要望に変化があっても「はい、大丈夫です!」と笑顔で返事。だが後になって「また変わってしんどいです…」と不満を漏らす。意見を通すことが正義だと思い込み、調整・歩み寄りの重要性を理解していないパターン。従順に見えて、実は不満を溜める“地雷スマイル”。
この問題の根本には、「わかっていないのに、わかったふりをする」「聞きたいのに、聞けない」文化があります。
そんな“経験”が、「はい、わかりました」という言葉を無意識に選ばせてしまうのです。
でも、「わかってないのに進める」ことの方が、よほどチームに迷惑がかかります。
本当は、「聞くこと」「確認すること」「一度立ち止まること」が、信頼につながる行為なのに、それが“できない空気”があると、表面だけの承諾=地雷スマイルが育ってしまうのです。
「はい」だけじゃなくて、「何をどう理解したか」を返してもらうことで確認ミスを防げる。
「じゃあ、どういう流れでやっていく予定?」と一言添えるだけで効果絶大。
「ここ、不安なところある?」
「確認したいことあったら、なんでも言ってね」
そうした一言が、“報連相”のハードルを下げます。
「はい、わかりました」と返事をした瞬間に、その仕事の責任は“自分”になる。
ただ指示を聞いただけで終わるのではなく、「自分がどう動くか」「誰と確認すべきか」までをセットで考える。
“やらされてる仕事”ではなく、“自分が進める仕事”として受け取ることで、行動の質も変わってきます。
「OK」と言う前に、“どこまで把握・理解したらOKなのか”を明確に。
チェックリストや進行ガイドの共有も有効。
一歩進む前に「この理解でいい?」と確認し合うことが、結果的に遠回りのない近道になります。
「はい、わかりました」は、一見素直で気持ちの良い返事に見えます。
でも、それが“理解していないままの同意”だったとき、プロジェクト全体を揺るがす“静かな地雷”になってしまいます。
大切なのは、「はい」よりもその後のやりとり。
「どこまで理解してる?」「どこに不安がある?」を丁寧にすり合わせることで、“気まずさ”は“安心感”に、“遠慮”は“信頼”に変わっていきます。
「言われたからやる」から、「意味を理解して進める」へ。
それができるだけで、チームの温度は一気に上がります。
「はい、わかりました」ではなく、「はい、だからこう進めます」と言える関係性をつくっていきたいですね。