JIRAIZUKAN

MANAGEMENT SIDE

営業・ディレクターが踏む地雷

意思疎通ガチャ地雷:Trigger.03

口頭NG、“完全証拠主義”の職場

「口では言ってた?でもログに残ってませんよね」
「その話、議事録には書いてないです」
「言った・聞いたの話はトラブルのもとなんで」

――もはや現代の制作現場は、“法廷ごっこ”なのかもしれない。
言葉よりスクショ、会話より記録。
ちょっとした声かけや現場のノリすら、“証拠不十分”で却下される。

本当は「気軽に話せる関係」でいたいのに、話すたびに“言質”を取られるような、妙なプレッシャー。
その空気が、チームのスピードと信頼をじわじわ削っていくのです。

ケーススタディ

ケース1:「“聞いてたけど書いてない”で逃げる」

「ここ、あとで軽く調整お願いします」と口頭で伝えた軽微な修正。相手も「はい」と返事していたが、納品前に確認すると未対応。「え?指示書に書いてませんよね」と、聞いていたことをわかっていながら記録の有無でかわそうとする態度が露呈。誠実さが試される“地雷スマイル”の応用形。

ケース2:「書いてないのは、自分なのに」

会話の中ではスムーズに合意したはずなのに、「後で書きます」と言っていた人が、結局何も書かない。
そして数日後、「どこにも書いてないんですけど?」という言葉が空気を凍らせる。

ケース3:「“正しさ”で逃げる人」

「その件、記録にないんで無理です」とピシャリ。温度感や文脈を踏まえた“暗黙の了解”も一切通じず、ルールや正論にしがみついて責任を回避するスタンス。柔軟な対応や関係構築が求められる場面でも、“正しさの鎧”に隠れてやり過ごす。信頼よりも保身が優先される地雷ケース。

解説

もちろん、「記録を残す」は大事な習慣。
でも、“記録されてない=責任ナシ”という免罪符のような使われ方をすると、本来の目的がすり替わってしまいます。

仕事は“記録”だけで動いているわけではありません。
“ニュアンス”や“空気”で動く場面も、現場には確かに存在する。
そこを全部カットして「全部マニュアル化で!」と走ると、チームの血流が止まり、最終的には“記録通りのダメな成果物”が量産されます。

本当に必要なのは、記録に頼りすぎず、会話も仕事の一部として扱うマインドです。

解決策

責任の所在は、発言と記録の両方で明確に

記録に残す=責任回避ではなく、「この件、自分が受け取ってますよ」の意思表示に。
文書化は“逃げ”ではなく、“安心の土台”として使いましょう。

「言った・聞いた」の摩擦をなくす“フォロー文化”を

言われたことを、すぐに簡潔にメモ→確認返信。
形式ばった議事録でなくても、“お互い安心できる軽さ”でいいんです。

重要な話ほど、声で伝える&書いて残す

「これって大事な話かも」と感じたら、まずは対面 or 通話で意図を伝えて、その後にログを残す。
どちらか一方ではなく、会話+記録=チームの筋力。

“書かれていないからやらない”を美徳にしない

マニュアル化された仕事しかできないチームは、変化に弱く、事故に気づくセンサーも鈍くなる。
“書いてないけど、やったほうがいい”を拾える人が、最強です。

まとめ

記録はたしかに、ミスを防ぐ手段。
でもそれは、“信頼関係”や“対話”という土台があってこそ生きるものです。

口頭だけだと抜け漏れが起こる。
記録だけだと意図や温度が伝わらない。
だからこそ、両方を使い分けて補完し合う力が、これからのチームには求められます。

たとえば、
「ここ、お願いしていいですか?」のひと声が、ログには残らなくても現場を助けることはある。
逆に、丁寧に書かれたドキュメントも、読み手の解釈がズレればトラブルの火種になる。

「書いてないから知らない」「言われてないから関係ない」ではなく、「それ、僕のことかな?」「私の仕事かもしれないな」と察して動ける人がいるかどうか。
その“気づき力”が、チームの強さを決める時代です。

つまり、

  • ・記録は“責任の逃げ道”ではなく“信頼の橋”
  • ・対話は“雑談”ではなく“仕事の一部”
  • ・柔軟に拾い、適度に受け止める“余白”があるかどうか

この3つがそろったとき、「記録文化」は“縛り”ではなく“支え”に変わります。

口だけでも、紙だけでも、伝わらない。
“言葉”と“記録”を両輪に、しなやかに動くチームへ。
あなたの現場にも、そんな空気を取り戻していきましょう。

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