MANAGEMENT SIDE
MANAGEMENT SIDE
「このデザイン、どうやって動かすんですか?」
実装メンバーのその一言で、打ち合わせ室の空気が一変。
誰もが目をそらし、沈黙する──なぜならそのデザインは、すでにクライアントへ提出済み&OK済みだったから
クライアントのリアクションは最高。「めちゃくちゃいい感じです!これでお願いします!」
こちらも「よし、決まった!」と胸をなでおろした直後に、プロジェクトの致命傷が見つかる
「これ、技術的に対応できないかもですね……」
「そもそもCMS構造に合ってないです」
「このアニメーション、フロントだけじゃ無理です
この瞬間から、もう戻れない“詰み案件”が始まってしまうのです。
「実装できるか一応コーダーに聞こうと思ってたんですよね」
そうつぶやいたのは、すでにデザインが全確定した後。相談されていなかったコーダーは実装段階で詰まり、対応不能に。動かない、整わない、仕組みにすべて“事前のひと声”があれば避けられたミス。設計と実装が分断されたまま進むとこうなる。
営業やディレクターが「デザイナーがOKなら大丈夫」と判断して進行してしまうケース。
しかしその裏で、コーディング目線のチェックは一切されていないことも珍しくありません。このまま制作が進むと、後から「実装できません」「仕様を変えるしかない」という“地獄ルート”に直行。誰が何を確認したのか、そのプロセスを意識せずに進むと、手戻りの代償は大きくなります。
Figmaでマイクロアニメーションも完璧に再現し、デザインに“夢”を乗せすぎた。
クライアントも「うわ〜ステキ!」と大満足で即決OK。
でも、その夢を現実にするには実装時間も工数も倍。現場は悲鳴、スケジュールは炎上。
このトラブルが起きる背景には、「見た目のOK=プロジェクトのGO」という誤解があります。
特に以下のようなケースが危険信号:
この段階で「ちょっと無理があるかも…」と発覚しても、もう誰も止められない。
なぜなら、クライアントの“OK”は絶対だから。
変更をお願いするには理由が要る。
でもその理由が「技術的に難しい」だけだと、「なぜ事前に確認してくれなかったのか?」という信頼の問題にすり替わる。
つまりこのトラブルは、ただの実装リスクではなく、関係性リスクでもあるのです。
どんなに小さなパーツでも、「動く前提で見せるなら、動くかどうかの確認を」。
デザイン提出直前の5分でも、コーダー・フロント・エンジニアに目を通してもらうことで、詰みの未来は大体防げます。
特に表現にこだわった動き・アニメーションは、「視覚上の提案であり、仕様は後日確定」など、あえて曖昧にしておくテクニックも有効。
チームやクライアントとの関係性にもよりますが、“確認”ではなく“仮了承”という言葉を使うのも手。
万が一の変更を見越した“余白”を、あらかじめ作っておくとリカバリが効きやすくなります。
「提出の最終責任は誰が持つのか」「そのOKは“見た目”だけのOKか」プロジェクトのフローに合わせて、その線引きを明確にしておくことで、責任のグレーゾーンをなくせます。
クライアントがOKを出したあとに、実装できないと判明した。このパターンの破壊力は、本当に大きい。
プロジェクトの初動がうまくいっていても、一瞬で空気が変わる。誰も悪くないはずなのに、全員が責任を感じて、全員が疲れる。
そして何より、クライアントに「なんで今さら?」と思わせてしまうことが、プロとして一番ダメージが大きい。
だからこそ、
プロジェクトが前に進んでいるときこそ、慎重さが必要です。
“そのOK、本当に動かせるの?”と、ひと呼吸おく勇気を
未来の自分たちを地獄から救えるのは、“今の自分たち”しかいません。