MANAGEMENT SIDE
MANAGEMENT SIDE
制作現場ではそれぞれの専門領域があるとはいえ、「言われたことしかやらない」「自分の役割外のことは完全スルー」という姿勢は、現場の空気を一気に冷やします。
特に忙しい時期や、クライアント対応でバタついているときなど、「一言、声をかけてくれるだけで助かったのに…」と思う場面は少なくありません。
ディレクターや営業がチャットで奔走し、トラブル対応に追われている中、耳を塞ぎ、目を伏せて自分の作業だけに没頭するフリーランスや外注スタッフ。
そんな姿を見ていると、「分業って、ここまで壁をつくることだったっけ?」と疑いたくなる瞬間が何度も訪れます。
ほんの少しの気遣いや、余裕があるときの“協力する姿勢”が、どれだけ信頼につながるかを理解していない人とチームを組むと、現場の士気は下がり、やがて“孤立型の人材”として距離を置かれていきます。
「一緒に仕事をしていて気持ちいいかどうか」この感覚は、チームづくりにおいて想像以上に重要な指標です。
営業がクライアント対応でチャットも電話もひっきりなし、ディレクターも進行に追われて混乱している。そんな中、自分は終わった作業の確認待ちで手が空いているにもかかわらず、イヤホンをつけて音楽を聴きながら涼しい顔で黙々とタイムカードの時間を過ごす。
「何か手伝えることありますか?」の一言があれば、どれだけ救われるか…。
見積や進行表の修正をお願いしようとした際、「それは営業がやることでしょ?」とサラッと突っぱねられた。確かに担当ではないが、内容を少し知っているなら「少しだけ手を貸す」くらいの柔軟性があってもいいはず。
その言葉一つで、分業のはずが“無関心の壁”になる
コーディング作業だけを黙々とこなし、「完成しました」とだけ報告。
その後の表示チェックや連携資料の確認は一切せず、あとは「他の人の役割」として完全に放棄。
その結果、営業やディレクターが全てを拾いにまわる羽目に。
このような“協力ゼロ型”の地雷スタッフに共通するのは、「自分の作業範囲」だけにしか興味がないという姿勢です。業務としての分業はもちろん大切ですが、「少しだけ手を貸す」「先回りして気づいて動く」といった柔軟性と気遣いがある人ほど、チーム全体の評価が上がっていくのが現実。
逆に、自分の仕事だけをやっていればいいという思考のままだと、いざというとき誰もフォローしてくれなくなり、結果として自分の信頼や居場所も失われがちです。
“自分は悪くない”を貫いていても、チームの空気は冷たくなり、関係性もどこかピリピリしたものに。
制作現場は機械のような分業ラインではなく、“生身の人間同士が協力して仕上げる”場所だという意識を持てるかどうかが、分岐点になります。
しかも、こういった人材に限って「修正依頼が多い」「指摘が細かい」といった不満を漏らすこともあり、現場の空気は悪化しがち。
“作業に対する責任感のなさ”が如実に現れる典型的な例といえます。
単に「作業ができる」だけではなく、「チームの状況を把握し、手を貸せるか」という視点も評価に反映させることで、仕事の意識は大きく変わります。
「連絡・報告」に一言「他にできることありますか?」を添えることを習慣化すると、チーム内の温度感と連携力が一気に上がります。
「役割外のことはやらない」という考えが固定化している人にチームワークを期待しても、なかなか変わりません。割り切って“完全外注枠”として扱い、コミュニケーションや連携の負担を最小化する判断も有効です。
「分業制だからやらなくていい」「言われてないからやらない」そんなふうに線を引きすぎる人材は、たとえ作業の質が高くても、長期的には信頼されにくいのが現実です。
制作の現場は、機械的に役割をこなす場所ではなく、状況に応じて助け合い、連携しながらゴールを目指す“チーム戦”です。
もちろん「全部やれ」と言っているわけではありません。
忙しそうなときに「何かお手伝いできることありますか?」の一言をかける、チャットの指示に一つプラスで気を利かせる。たったそれだけで、周囲からの信頼は驚くほど高まります。
逆に、「自分には関係ない」と冷たい態度を取り続ける人は、現場から徐々に孤立していき、最終的には「一緒にやりたくない人」のレッテルを貼られてしまいます。
これからの時代、“作業ができるだけの人”ではなく、“一緒に仕事を進められる人”が求められます。
その違いを生むのは、スキルではなく、ほんの少しの“気遣い”と“姿勢”なのです。