CLIENT SIDE
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「なんか…こちらの資料をキレイにまとめただけですよね?」
プロに依頼したのに、戻ってきた制作物を見てガッカリした。
そんな経験、Web制作の現場では少なくありません。
とくに目立つのが、「依頼通りにやったので問題ありません」という“受け身制作”。クライアントの要望をそのまま形にするだけで、「プロとしての提案」や「成果を出す工夫」が一切見られない。
しかし、クライアントが求めているのは、“言うことを聞いてくれる人”ではなく、“より良い結果を導いてくれるパートナー”です。提案力や洞察のない制作は、外注ではなく単なる作業委託。これでは社内でパワポを作るのと大差ありません。
プロの仕事とは何か。見た目の整った成果物だけでは成立しない、本質的な問題について考えてみましょう。
販促のために制作を依頼したバナー。返ってきたのは、既存のテンプレに画像とテキストを差し込んだだけのようなデザイン。訴求ポイントを伝えても「素材があれば作れます」と言われただけで、何を訴求するかの相談すらなかった。クライアント側が目的や方向性を言語化しないと、何も生まれない状態。
簡単なワイヤーを元にデザインを依頼。返ってきたのは「見た目を整えただけ」の構成。要素の整理や導線の工夫もなく、まるでPowerPointで装飾しただけのようなレイアウト。理由を聞いても「ワイヤーに忠実にしました」との返答で、改善や発展性がまるでない。
更新性を重視してCMSの導入を依頼したが、納品された管理画面はコーダーにしか理解できないレベルで複雑な仕様。担当者に「これだと社内で更新できません」と伝えても、「このCMSが一番安定してるので」と一蹴。結果、更新は外注するしかなくなり、目的そのものが破綻。
「なぜ提案してくれなかったのか?」という疑問は、すべての依頼者が一度は抱えるモヤモヤです。“プロ”と名乗る以上、本来期待されているのは、「どうすればもっとよくなるか?」を考え、伝え、形にする提案力。しかし、残念ながら受け身の姿勢で「言われた通りにやること=正解」と思っている制作者は少なくありません。
とくに近年は、制作ツールの進化により、「それっぽい見た目のもの」を作ること自体は容易になりました。そのため、表面的には「仕事はしている」ように見えても、中身が伴わないケースが激増しています。
また、依頼者の言葉をそのまま受け取って処理してしまう人は、「本当にそれで効果が出るか」「目的に沿っているか」といった“設計レベルの視点”を持っていないことが多い。
結果として、「指示がないと何もできない人」になり下がり、プロジェクトの推進役ではなく、ただのオペレーターとして扱われてしまうのです。
これはスキル不足だけでなく、「思考放棄」「責任放棄」にも近い問題。
“成果に責任を持つ”という意識がない以上、どれだけ見た目が整っていようと、プロとしての価値は大きく損なわれます。
あらかじめ「要望に加えて、目的に沿った提案もお願いします」と契約時に伝えておくことで、受け身な対応を未然に防げます。業務範囲として提案力を含めておくことで、「やらなくていいと思っていた」という言い訳を封じ込めましょう。
「この構成で進めたい」ではなく、「この構成で問題ないと思いますか?」と尋ねることで、相手に提案のきっかけを与えることができます。小さな問いが、提案姿勢を引き出す呼び水になります。
「なぜその構成にしたのか」「なぜその配色なのか」など、細かく理由を確認することで、提案の中身をチェックできます。曖昧な回答や「なんとなく」で済まされるなら、今後の継続は慎重に検討したほうがいいかもしれません。
私たちクライアントが本当に求めているのは、単なる“指示通りの制作”ではなく、ビジネスの成果につながる“提案力のあるパートナー”です。
こちらの言葉をそのまま形にするだけの制作者と、目的を深く理解して「もっと良くするにはどうすべきか」を考え抜いてくれる制作者とでは、結果に大きな差が生まれます。
「プロに頼んでおけば安心」と思っていたのに、フタを開けてみたらただの言われたことしかできない“作業者”だった。そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
こちらが明確な指示を出さないと動けず、自分の考えや意見は一切出してこない。
これでは、自社にノウハウが残らないどころか、制作のたびにストレスを抱えることになります。
今後、Web制作やクリエイティブ業務を発注する際は、「この人は提案してくれるか?」「思考力を持って動いてくれるか?」という視点で相手を見ることが重要です。
金額やスピードだけではなく、“自分たちのゴールを一緒に考えてくれるかどうか”が、もっとも重要な判断軸になります。
本当の意味で信頼できる制作パートナーは、こちらの言葉をただ受け取るだけではなく、その意図を汲み取り、さらに良い形にして返してくれます。
そうした相手と出会えたとき、はじめて「頼んで良かった」と思える結果が得られるのです。