JIRAIZUKAN

CLIENT SIDE

クライアントが踏む地雷

丸投げ・放置 地雷:Trigger.01

契約までは即レス、以降は完全放置

契約前までは、驚くほどレスポンスが早く、質問への返答も丁寧で、資料もきちんと揃っていて「この会社なら任せて安心だ」と思えるような対応だったのに、いざ契約が成立した途端、連絡がピタリと止まり、制作の進行状況もわからなくなる……。

「返事が来ない」「確認が取れない」「誰が担当かも不明」そんな“放置型”の制作会社と向き合うハメになり、苦い経験をされた方は少なくないはずです。

とくに最近は、営業と制作を完全に分業している会社が増えています。そのため、営業時点での手厚い対応と、実制作に入ってからの実務レベルの低さとの“落差”が激しく、クライアント側が不安や不信を抱えたまま、プロジェクトを進めざるを得ない状況も散見されます。

契約を取ることがゴールで、その後は「はい、あとは制作チームに任せました」と丸投げ。責任の所在も不明確なまま、プロジェクトが迷走していく。このような体験は、制作者との信頼関係を大きく損なうだけでなく、プロジェクト全体に深刻なダメージを与えかねません。

ケーススタディ

ケース1:週1回のミーティングが、契約後すぐに“自然消滅”

最初の打ち合わせでは「進捗は週に1度は報告しましょう」と約束していたものの、契約が成立するとスケジュールが一切送られてこない。こちらから確認しても「調整中です」と言い訳ばかり。結局、報告どころか進捗すら伝わってこないまま、納期だけが近づいてきた。

ケース2:「今どんな状況?」の問いに、営業は「確認します」

制作がスタートしてからも営業に問い合わせをしていたが、「その件は制作に聞かないと…」と投げ返されるばかり。制作担当と直接やりとりしたくても連絡先すら教えてくれず、コミュニケーションの断絶にストレスが蓄積。結局、重要な確認事項も抜けたまま納品され、手戻りが発生。

ケース3:まさかの「担当者が辞めました」連絡。引き継ぎはゼロ

契約後しばらくしてから、「担当者が退職したため、今後はこちらが担当します」と連絡が来たが、前任からの引き継ぎは一切されておらず、過去の要望や指示内容は完全リセット。再度の説明を強いられる羽目になり、余計な労力と時間が奪われた。

解説

このようなケースで多いのが、「営業だけが優秀で、制作体制が追いついていない会社」です。営業はプレゼン力が高く、信頼感のある提案ができる一方で、実際の制作チームはアウトソースや外注に任せっきりで、クオリティ管理ができていない。責任感も希薄で、進行や報連相の文化が育っていないというパターンです。

さらに、営業と制作が分断されている会社では、「営業が受けた内容が正しく制作側に伝わっていない」ということがよく起こります。ヒアリング内容が共有されておらず、「どんな目的でこのサイトを作っているのか」「デザインや機能面の優先順位は何なのか」といった基本情報が抜け落ちたまま制作が進むことも。

その結果、納品されたものを見て「これは一体誰向けの何なのか?」と、クライアントが首をかしげる事態になるのです。

解決策

営業だけでなく「制作担当者の顔」も契約前に確認する

営業だけと会話して判断せず、実際の制作担当者・ディレクター・デザイナーとも事前に顔合わせや打ち合わせを行うようにしましょう。対応の丁寧さ、説明力、温度感などを直接確認することで、契約後のギャップを防ぎやすくなります。

契約書に「進行管理」の範囲を明記しておく

「週次の進捗共有」「連絡から48時間以内の返信」「担当者の変更時はクライアントにも通知」など、進行上のルールを契約書や合意書に記載することで、責任の所在を明確にし、曖昧な対応を防止できます。

「放置の兆候」を感じたら、すぐ軌道修正を促す

返信が遅くなってきた、報告の頻度が下がってきた、会議が延期続きになるなど、“放置の兆候”は必ず表れます。そうした段階で「このままでは進行に支障が出る」と伝え、定例の再設定や体制の見直しを促しましょう。

まとめ

プロジェクトが成功するかどうかは、最初の印象ではなく「継続的な対応力」にかかっています。契約前に丁寧な対応をしてくれるのは当然ですが、本当に信頼できるのは、“契約後にどれだけ粘り強く付き合ってくれるか”を見せてくれるパートナーです。

契約さえ取れれば後はどうでもいい。そんな姿勢の制作者と仕事をしても、クライアント側はストレスと不信感ばかりが募ります。進行管理のずさんさや、責任の丸投げ体制は、やがてクオリティの低下や納期遅延といった実害につながるリスクを孕んでいます。

これからパートナー選びをする際には、「提案内容の良さ」や「価格の安さ」だけで判断するのではなく、契約後も一貫して信頼できる体制かどうかを見極めることが重要です。

“契約前の対応”は営業の演出、“契約後の姿勢”が本当の実力。
この視点を忘れずに、信頼できる制作パートナーを見つけましょう。

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