CLIENT SIDE
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「えっ、それって見積りに入ってなかったんですか?」
WEB制作の現場では、こうした驚きと戸惑いの声が、納品間際になって頻繁に起こります。その根本には、発注者側の“確認不足”と、受注者側の“説明不足”という、両者の責任が複雑に絡み合っています。
中には「クライアントは素人だから分からないだろう」と、あえて契約内容を曖昧にし、あとから追加料金を発生させるような悪質な制作会社も存在します。
WEB制作という専門性の高い分野において、「言った・言わない」では済まされない契約トラブルがなぜ起こるのか。そして、それをどう防げばいいのか。表面的な問題の裏にある“構造的なリスク”を今こそ見直す必要があります。
見積書に「モジュール組込一式」「仕様調整費」など専門用語が並び、説明も「CMS込みです」程度のざっくりとしたもの。クライアントは理解したつもりで契約したが、納品時には「会員管理や、この部分の投稿機能は含まれていない」と言われ唖然。
掲載画像がトリミングで崩れたり、表示がズレたりと、明らかに初期の実装不備が原因の不具合にも関わらず、「仕様変更扱いになります」と言われ、追加修正費を請求された。
基本ページとお問い合わせフォームのみの“激安見積り”で契約。実際には、商品紹介や更新機能も必要だったが「それは別途です」と言われ、機能を追加するたびに追加費用が膨らみ、結果的に相場より高くついた。
この手のトラブルの本質は、「認識のズレ」ではなく、“説明と確認の放棄”です。
クライアントが制作知識に乏しいことを前提に、契約時の情報提供や仕様確認が曖昧なまま進行してしまう。ここで多くの場合、制作会社側が「難しい話をしてもわからないだろう」と都合の悪い部分をぼかし、クライアント側も「専門家が言っているなら大丈夫だろう」と確認を怠ってしまうのです。
さらに悪質な例では、そもそも“安く見せて契約を取り、あとから請求”というモデルを前提にした会社も存在します。こうした業者は見積書を“わざとわかりにくく”作り、契約時には口頭で「一通り含まれていますよ」と安心させながら、後から「追加扱いです」として利益を上げる手法をとります。
もちろん、すべてのトラブルが故意ではないかもしれませんが、説明責任を果たさない時点で“信頼に値するパートナーではない”と判断すべきです。
発注側としては、「知らなかった」「そう思っていた」という言い訳が通用しない以上、自衛意識と確認力が求められる時代です。
専門用語が多い見積書や提案書は、その場で「これは何を指しているのか」を説明してもらいましょう。「CMS一式」「保守費用」など曖昧な表現は具体化を要求し、納得できない場合は契約を保留する判断も必要です。
“基本費用に含まれる項目”と“追加費用が発生する可能性がある項目”をそれぞれ明記することで、後から「それは別料金」と言われるリスクを大きく下げることができます。とくにフォーム、CMS、マルチデバイス対応は要チェックです。
クライアントだからといって丸投げはNG。最低限のWEB制作の知識を身につけ、「何を聞くべきか」「どこが曖昧か」を判断する力を持つことが、無駄な出費とトラブルを回避する最大の武器になります。
WEB制作の現場で最も多いトラブルの一つが、「契約内容が曖昧だった」というケースです。
そしてその裏には、制作会社の“説明責任の放棄”と、クライアントの“確認不足”という両面の落ち度が存在します。
さらに問題なのは、それを悪用するような“悪質な業者”が少なからず存在するという事実。彼らは、クライアントの知識不足を逆手に取り、わざと不明瞭な契約であとから利益を上げる構造を持っているのです。
制作側が誠実であるべきなのは当然ですが、発注側も「確認していなかった」では済まされない時代。信頼できるパートナーを見極めるには、契約書の透明性、説明の丁寧さ、そして“疑問を潰せる姿勢”があるかどうかを重視すべきです。
「プロだから任せれば安心」ではなく、「プロだからこそ、曖昧を許さない姿勢」が求められています。制作パートナー選びにおいては、“人柄”や“デザインセンス”だけでなく、“説明力と誠実さ”にも目を向けて選ぶことが、納得のいく制作につながります。
これから依頼を検討する際には、「この金額で“どこまで”やってくれるのか?」「後から費用が発生する可能性はあるのか?」を事前にしっかり確認しましょう。
“破格”には、落とし穴がある。この事実を忘れないことが、トラブルのない制作の第一歩です。