JIRAIZUKAN

MANAGEMENT SIDE

営業・ディレクターが踏む地雷

クオリティ&責任感不足の地雷:Trigger.01

返事がないのは沈黙の地雷

「チャット見てないのかな?」「いま対応してるのかな?」
——そんな不安をよそに、メッセージは既読のまま無反応。納期が近づいているにもかかわらず、返事がない。状況がわからない。お願いした修正は終わっているのか、やっていないのか、そもそも読んでないのかも不明。
こうした“沈黙”は、ただのスルーでは済まされない地雷であり、現場にとっては最大級のストレス源です。

特に困るのは、こちらが指示を出した「つもり」ではなく、「返ってきて初めて確定する」という進行管理の基本が崩れてしまうこと。しかも本人には悪気がないケースも多く、「やってますよ」とサラッと言われると、その温度差にさらに血圧が上がります。結果的に、関係者全員があたふたして、チームワークはズタズタになるのです。

ケーススタディ

ケース1:チャットワークの既読スルーで進行がストップ

修正のお願いをチャットワークで送ったが、一向に返事がない。見た形跡(既読)はあるのに、リアクションゼロ。
仕方なく「やってる前提」で様子を見るが、納品日前日になって「え?今日まででしたっけ?」と返信。現場は慌てて軌道修正、対応可能なチームに差し替える羽目に。

ケース2:クライアントからの連絡を営業に共有しない

制作担当に直接クライアントから修正依頼が届いたが、なぜか営業には一切共有されず、進行管理から完全に漏れる。
クライアントは「もう伝えてあると思ってましたよ?」と当然の反応。
「え、それ聞いてない…」と営業が青ざめ、信頼失墜。後追いの修正対応に大きな工数を割くことに。

ケース3:「できない」と言えずにギリギリで爆発

あるタスクについて、スケジュール内で完了する見込みがないと感じていたらしいが、相談もなく黙って抱え込み、納期当日に「ちょっと無理でした」と一言。
間に合わせるために他のスタッフ総出でリカバリー対応。
「もっと早く言ってくれてれば…」という言葉は、もはや意味をなさない。

解説

この手の“黙秘型フリーランス”が厄介なのは、コミュニケーションの重要性を根本的に理解していない点にあります。
「言われたことはやってますよ」「見たので進めてました」では、業務は回りません。今どんな状況か、遅延が起きそうか、クライアントに何か動きがあったか、そういった情報がチーム全体に共有されてこそ、プロジェクトはスムーズに進行します。

彼らは自分の作業にだけ意識が向いており、プロジェクト全体の“流れ”や“関係性”に対する意識が欠けているのです。
また、「迷惑をかけたくない」「責められたくない」という思いから、逆に何も言わずに抱え込んでしまう人もいますが、それが結果的に現場全体へ迷惑をかけているという自覚がありません。
報連相の欠如は、単なる不便ではなく、信頼の崩壊です。進行役にとって、「今どうなってるかわからない」ことほど不安で怖いものはないのです。

解決策

「リアクションがない=地雷」を周知しておく

あらかじめ「即レスでなくてもいいけど“見た・やる・いつやる”の報告は絶対」とルールを明文化。既読スルーの心理的ハードルを下げないためにも、黙って進めることがどれだけ迷惑かを共有しておく。

「進行の責任は自分にある」と常に伝える

営業・ディレクターは進行のハブであり、情報の集約点。そこをスルーされると、全体が止まる。「一言連絡してもらえるだけで、助かることが多い」と何度でも伝える。むしろ伝えないとわからない。

「言えない人」は頼らない。依存しない構成を

報連相の習慣がない人は、研修では直りません。構造でカバーするか、役割を制限するかの判断が必要。ワンストップ対応ではなく、「この人にはこれだけ」「ここまでは誰かが必ず確認」などのリスクヘッジが必須。

まとめ

「言われてないからやってない」「見たけど返してないだけ」
そんな言葉が平気で出てくるような人とは、本来なら一緒に仕事をしてはいけないのかもしれません。コミュニケーションは気遣いではなく、プロジェクトを円滑に進めるための“最低限の責任”です。

進行を担う営業やディレクターにとって、最も怖いのは“今どうなってるのかがわからない状態”。一言あれば済むことを伝えないだけで、二次被害・三次被害が簡単に生まれてしまうのです。作業の進捗だけでなく、課題や不安、対応状況など、日常的に「報連相する文化」を根付かせることが、プロジェクト全体の安全装置になります。

“無言の爆弾”は、沈黙のまま時限爆発を起こします。
だからこそ、言葉にして、伝えてもらうことの価値を、もっと大きく評価すべきだと私たちは考えています。

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