MANAGEMENT SIDE
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「今やってます」制作の進捗を聞くと、とりあえずそう返してくるスタッフ。しかし実際に内容を確認しようとすると、「あ、ちょっとまだ…」「今からやろうと思ってた」と本音がポロリ。
“口ではやってる風”なのに、実際は未着手。こういったケースが制作現場で頻発しています。納期は迫っているのに、作業はゼロ進行。確認できた段階ではすでにスケジュールが破綻していて、営業やディレクターが火消しに追われるという地獄。
“今やってる”という言葉に、もう誰も安心できなくなっています。
そんな温度差が、信頼とスピード感を命とする制作現場では致命的です。
「来週の納品に向けて、今日中に半分ほど進めておいてほしい」と伝え、当日夕方に進捗確認すると「今やってます」の返答。
具体的にどこまでできているかを聞くと、「実はまだ着手してません」。
その場でやっと作業を開始し、納期直前に慌てて仕上げるというスケジュール崩壊パターンに。
数日にわたって進捗を聞くたびに「やってます」と返ってくるが、途中の確認データもスクショも一切出てこない。しびれを切らして「現状見せて」と言うと、結局“白紙”状態で、クライアント提出の予定を1日ズラす羽目に。
「納期には間に合いますから」と軽く返されたが、プロジェクト全体の信頼感は完全に揺らいだ。
複数案件を抱えていたスタッフに進捗を確認したところ、「他の作業もあるけど、今並行でやってます」と安心させる返事。
しかし納期前日にようやく着手していることが発覚し、内容も粗く、クオリティ・スピードともに不合格。結果、ディレクターが夜を徹して修正する羽目になった。
このような“やってる風の返答”が繰り返されるのは、自分の作業だけで世界が完結しているという認識の甘さに起因します。プロジェクト全体の流れや他メンバーの作業状況、そして納期までの確認・修正フローといった全体像が見えていない。
だから、「自分の中で帳尻さえ合えば問題ない」と思い込んでしまい、遅れたタイミングで着手しても大丈夫と判断してしまうのです。
しかし、実際の現場では“やってる”ことそのものよりも、“今どこまで進んでいるか”という共有と見える化のほうがはるかに重要です。スケジュールというのは「終わればOK」ではなく、「途中のプロセスを見せることで周囲が動きやすくなる」という意味で設計されています。
それを理解せず、「今やってます」という曖昧な言葉で進行を煙に巻く人は、もはや危機管理能力ゼロの地雷です。
また、こうした人材に共通するのが「問題が起きるまでは報告しない」スタンス。
つまり、未着手であっても“黙ってればバレない”という意識があり、納期直前になって「やっぱり無理です」と言い出すことも珍しくありません。
こういった対応は、現場の信頼・リズム・段取りすべてを壊します。
「今やってます」ではなく、「どこまで作業済みか」「画面キャプチャ」「中間ファイル」など具体的な進捗物を提出してもらう仕組みを設ける。
中間成果物を確認する日をあらかじめ決め、最終提出日ではなくその“前段階”での見える化を義務付けることで、進捗のごまかしを防ぐ。
他の案件状況や全体フローを細かく伝えた上で、“納期遅れがどんなリスクをもたらすか”を事前に理解させる教育が必要。
「今やってます」という言葉ほど、現場での信頼を失うワードはありません。
進捗の見える化を避ける人、報告を後回しにする人、納期までに“結果さえ出せばいい”と考える人は、チームで動く現場においては爆弾のような存在です。
進捗を口先だけで語る人は、実はプロジェクト全体の空気を読めていません。
納期というのは単なる締切ではなく、“クライアントとの信頼の約束”。
その約束を守るために営業やディレクターが神経をすり減らしながら進めている中で、「やってます」の言葉がウソだったときのダメージは想像以上です。
スケジュールの中で一番危険なのは、“実態の見えない進行”。
だからこそ、“やってる”のではなく、“どこまで進んでいるか”を正確に、具体的に示すことが求められます。
進捗報告は信頼の証。曖昧な返答では、現場は前に進まないのです。