CLIENT SIDE
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WEB制作を外部に依頼する際、最初の接点となるのは営業担当。
口調が丁寧で受け答えも明快、資料も綺麗。そんな印象の良さから「信頼できそう」と契約を結ぶクライアントは少なくありません。
しかし、営業が「できますよ!」と自信満々に断言していたにも関わらず、いざ制作が始まると「それはウチではやってないんです」「外注になるので別料金です」と言い出すパターンは後を絶ちません。
結果、要望が反映されなかったり、想定外の追加費用が発生したり、最悪の場合はプロジェクトが破綻することも。表面上の“できる風”に騙されて、大きな損失を招いてしまうケースです。
打ち合わせではCMSを用いた更新可能なサイト構築を依頼。営業は即座に「問題ありません」と回答したが、担当になった制作側はCMSに関する知識が乏しい。結果、静的HTMLで納品され、更新は全部“都度依頼”という本末転倒な結果に。
グローバル対応を希望し、営業からは「多言語対応できます」と太鼓判。しかし実際には翻訳はクライアント任せ、切り替え機能もテンプレ依存。期待していたUXとは程遠い出来栄えに。
サイトに動画を入れたいという希望に「弊社で撮影から編集までやってます!」と豪語した営業。しかし話が進むと、実際は提携先に丸投げで、少しの修正でもグダグダ、しかも品質や納期はコントロール不可という有様。
このようなトラブルの背景には、“営業と制作現場の連携不足”という構造的な問題があります。
受注を取るために営業が「できます!」と軽々しく言ってしまうのは、現場を理解していないか、もしくは受注ファーストの企業体質に問題があるかのどちらかです。
現場で「できない」「聞いていない」となると、最終的なしわ寄せはすべてクライアントに向かいます。
期待したクオリティや成果物を得られないだけでなく、社内調整や予算組みがすべて無駄になるリスクもある。つまりこれは単なる“営業ミス”ではなく、企業としての信用を根底から失う致命的な落ち度だという認識が必要です。
さらに、こうした営業は「実装方法」や「制作工程」を理解していないことが多く、ヒアリング時のやりとりが表面的。つまり、クライアントの要望を“受け止めたフリ”だけで終わってしまい、具体的にどう実現するのかを社内で詰めずに突き進んでしまう。その結果、現場は右往左往し、進行がストップし、時間もお金も無駄になるという悪循環が生まれます。
営業だけで話を進めず、実際に作業を行う担当者やリーダーと直接会話・打ち合わせをする機会を設けることが重要です。スキルや理解度をその場で確認できれば、ズレを早期に発見できます。
「できます」という言葉を鵜呑みにせず、“どのように実現するのか”の手段・手法を具体的に聞くこと。答えが曖昧だったり、「そこは後で詰めます」といった逃げの姿勢が見えたら要注意。
依頼内容について、“できること・できないこと”を事前に明確に書面に残しておくことが肝心です。万が一のトラブル時にも、契約書や議事録が証拠になります。
似たような実績があるかどうかを確認し、ポートフォリオや具体例が出てこない場合は危険信号。営業の言葉と実際の成果物に差営業トークの「できます」は、最も信頼してはいけない言葉かもしれません。
相手が本当に「できる」のか、それとも「できると言っているだけ」なのかを見極められないと、プロジェクトの根本が揺らぎます。口先だけで信用を勝ち取ろうとする営業は、裏を返せば“現場を理解していない”か“社内体制に自信がない”証拠。
よくあるのが、実際には外部パートナーに丸投げしているにも関わらず、それを一切説明せず、あたかも社内で完結できるように見せかけるケース。外注自体が悪いのではなく、「誰がやるのか」を明示せず、自社の制作体制を曖昧にしたまま受注する姿勢こそが、信頼を損なう原因です。
クライアントとしては、依頼先の「組織としての成熟度」や「内部の連携体制」までを見極める目を持つことが重要です。
本当の“できる”とは、最初から最後まで一貫して責任を持って対応できる体制があるということ。
見た目や口調に騙されず、“誰がどうやって実現するのか”を明確にすることで、地雷を回避し、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。