CLIENT SIDE
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専門の制作会社にWEBサイト制作を依頼したのに、仕上がってきたデザインはどう見ても「素人作品」。要素が雑然と配置されていて、色使いもチグハグ、UI/UXに対する配慮は皆無。見れば見るほど「これって社内の新人が趣味で作ったのかな?」と疑いたくなるクオリティ。
「プロに頼んだから安心」と思っていた分、期待とのギャップは大きく、落胆もひとしお。依頼元の担当者としては、社内報告すらしづらく、謝罪とリカバリーに奔走するはめに。こんな「プロとは名ばかり」の制作地雷に、クライアントが巻き込まれるケースが後を絶ちません。
公式サイトや提案時に見せられた制作実績は、どれも洗練された良デザイン。だが、いざ自社の案件となった途端、出てきたデザインは余白の使い方もおかしく、バナーは安っぽいテンプレ感満載。「同じ会社が作ったとは思えない」という声が社内から続出した。
「社内のデザインチームが担当します」と言われ安心していたが、実際には新人デザイナーが主担当だったことが後から判明。チェック体制も甘く、ミスやクオリティ不足が放置されたまま進行。最終的には再制作する羽目に。
スケジュールを重視するあまり、制作途中レベルのWEBサイトを「納品です」と差し出された。画像は粗く、フォントも統一されていない。何より驚いたのは、それを“完成品”として堂々と提出してきた担当者の温度感。クライアント側の基準や想いが一切共有されていなかった。
“プロ”という肩書きは、残念ながら信頼の保証にはなりません。
とくに近年は、実績を装ったテンプレ事例、下請けに丸投げしたデザイン実績を自社のものと偽るなど、実態が見えづらい制作会社も増加傾向。「WEB制作会社に頼んだから大丈夫」という時代ではなくなっています。
さらに、案件が多忙になると新人や経験の浅いスタッフが「一人前」として表に出されるケースも珍しくありません。社内で育成中の人材であっても、外部からは判断できないため、納品物でようやく“実力”がわかるという構造上のリスクが潜んでいます。
「このデザインで本当に満足してると思ってるのか?」と驚くような仕上がりでも、制作側は「これが普通」と思っていることもあり、クライアント側との“基準の差”が根本原因になることも。
「制作会社」という大きなくくりではなく、実際の制作担当者のスキル・経験・過去制作物を明確に確認することが肝心です。チーム構成が曖昧な場合は、「担当変更になったら共有を必ずください」と事前に取り決めておきましょう。
初期段階で上がってくるワイヤーやビジュアルラフに、「配慮」や「提案」があるかどうかで、制作側の視座やセンスが大きく見えてきます。単なる要件消化型か、課題解決型かを判断する重要なフェーズです。
「ここを直してください」ではなく、「なぜこのような提案なのか?別案はありますか?」と“考えているか”を見極めるスタンスが大切。受け身でしか動けない制作会社は、クオリティの限界も早く見えてきます。
「他社実績のようなクオリティを期待している」とはっきり伝え、提案資料と実作業で水準差が出た場合のリスクも明文化しておくと、後で“こんなはずじゃなかった”を防ぎやすくなります。
「プロに頼んだから大丈夫」という認識は、今のWEB制作業界では通用しなくなっています。実力のあるスタッフに当たるかどうか、どれだけプロ意識をもったチーム体制かは、契約時点では見抜きにくいブラックボックス化していることが多いのが現実です。
一見プロっぽいけど中身が空っぽな“素人レベルの仕上がり”を見せられたときのがっかり感は、担当者にとってはダメージが大きく、社内からの信頼まで失いかねません。
だからこそ、事前の見極め・進行中の温度感チェック・相互の認識合わせが極めて重要。
名刺や看板の“プロ”という文字に安心せず、実物でプロかどうかを判断するクライアント視点を持つことが、制作トラブルを防ぐ第一歩です。