JIRAIZUKAN

CLIENT SIDE

クライアントが踏む地雷

丸投げ・放置 地雷:Trigger.03

表向きは制作会社。でも実はブローカー

「この制作会社、本当に“制作”してるの…?」
そんな疑問を持ったのは、納品されたWEBサイトのクオリティに驚いたとき、連絡するたびに対応者が違ったとき、そしてトラブルが起きても誰も責任を取らなかったときかもしれません。

実は、表向きは“制作会社”を名乗っていても、実態は営業機能だけの“ブローカー型”制作会社が少なくありません。社内にはクリエイターもディレクターも存在せず、すべての実務を外部に丸投げ。クライアントには“チームでやってます感”を出しながら、実際のところは案件を横流ししているだけ。そんなケースが現場では意外と多く見受けられます。

もちろん、外注そのものが悪いわけではありません。ただし、自社に判断・管理・品質保証の体制がないにもかかわらず、“プロの制作会社”として受注しているのであれば、これは完全にアウト。最終的に泣くのは、依頼したクライアント側です。

ケーススタディ

ケース1:担当営業が技術ゼロ、質問しても「確認します」で日数がかかる

サイト仕様について質問しても、担当者は「ちょっと確認します」と言うばかりで回答に何日もかかる。実は社内に制作担当がいないため、外注先に都度問い合わせていた。進行は遅れ、決定も曖昧で、プロジェクトは迷走。

ケース2:下請けがさらに孫請けに依頼、納品されたコードは壊滅レベル

表向きは“安心の自社制作”を謳っていたが、実態は別の制作会社に丸投げ。その下請けがさらに孫請けを使っていたため、納品されたコードは素人レベル。改修するにも元データがどこにあるか不明で、最終的には作り直すことに。

ケース3:制作後のトラブルに対応できない“受けっぱなし体制”

納品後にバグが発覚して連絡しても、「制作者が対応中です」と曖昧な返答ばかり。1週間たっても修正されず、最終的に「担当と連絡が取れなくて…」と信じられない言い訳が返ってきた。責任の所在が不明瞭なまま時間だけが過ぎた。

解説

このタイプの制作会社の多くは、“営業だけで仕事を回そう”という発想で、実務経験のない人間が代表や窓口を務めているケースが少なくありません。
実際のところは「誰に発注するか」を決めて案件を転送するだけで、中身の制作・設計・管理能力はゼロ。当然、品質管理もディレクションも機能していません。

また、制作を依頼される外注先にしても、詳細な仕様が決まっていないまま丸投げされることも多く、現場は混乱し、結果的に制作そのものがグダグダになることもよくあります。たとえば、デザインは自社でやるけど、コーディングは外部というパターンでも、デザイナーがコーディングを一切考慮していないことで、コーダーが困り果てる。そんな構造的な破綻が起こりがちです。

さらに問題なのは、責任の所在がぼやけること。トラブルが発生しても適当に言い訳され、修正も対応も後手に回ります。プロジェクト全体に“信頼の断絶”が起きてしまうのです。

解決策

「誰が実務を担当するのか」を契約前に明確にする

提案時に「自社でどこまで制作しているのか」「担当するデザイナーやコーダーは誰か」を具体的に確認しましょう。曖昧な返答や「チームで対応します」という言葉だけなら、外注依存型の可能性が高いです。

制作実績は“制作者の実名”で確認する

実績に記載されている制作物が、実際に社内のスタッフが手掛けたものなのかを確認。可能であれば「この実績はどの担当者が?」と聞いてみると良いでしょう。実名で答えられないようなら、ほぼ外注です。

制作体制・フローを事前に図で出してもらう

依頼から納品までのフローや、社内・外部含めた関与メンバーの体制図を依頼しましょう。フローが明確でない、もしくは誰が何をやるか曖昧な場合は、体制そのものが整っていない証拠です。

まとめ

「外注を使っている=悪」ではありません。
問題なのは、自社の制作能力がないにもかかわらず、クライアントには“自社対応”を装い、実態を伏せたまま受注していること。こうした“ブローカー型”制作会社は、見た目の営業力だけで契約を取り、その後の工程でボロが出るというパターンが非常に多く見られます。

トラブルが起きても責任を持てない体制では、安心して制作を任せることなどできません。むしろ「どこの誰が作っているのかが見えない」ということ自体が、プロジェクトのリスクであり、将来的な信用不安に直結します。

制作会社を選ぶ際には、価格や営業トークだけでなく、「誰が作るのか」「どこまで責任を持てるのか」といった“制作の中身”にしっかり踏み込んで判断することが不可欠です。

“本当に信頼できる制作会社”とは、自社で手を動かす力があり、その責任をきちんと背負える会社です。
華やかなプレゼンよりも、“実際の現場力”を見抜く目を持ちましょう。

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