JIRAIZUKAN

PRODUCTION SIDE

制作サイドが踏む地雷

契約・仕様の曖昧さが招く地雷:Trigger.02

「スケジュール遵守は制作だけ?」問題

「納期は絶対守ってくださいね!」「この日までに公開したいんです!」
強めの口調でスケジュール遵守を求められ、こちらも緊張感を持ってスケジュールを組む。
しかし、いざ進行してみると「あ、ちょっと素材まだ揃ってなくて…」「今週中にはチェック戻します!」と、遅れ始めるのは、なぜかクライアント側だったりする。

こちらが遅れると怒られるのに、相手が遅れるのは「事情があるから仕方ないよね」で流される。
その“ズレ”のしわ寄せは、すべて制作側のスケジュール圧縮・徹夜対応として返ってくるのが通例。理不尽を飲み込んで進めた結果、品質が下がったり信頼を損ねたり…まさに悪循環。

「時間はみんなのもの」という当たり前の意識が、なぜ共有されないのか?
この“納期二重基準”問題、徹底的に掘り下げていきます。

ケーススタディ

ケース1:素材が来ないのに納期はそのまま

「明日には素材を送りますね!」と聞いてスケジュールを組んだのに、実際に届いたのは5日後。にもかかわらず納期は当初のまま。「間に合いますよね?」と軽く言われて、胃がキリキリ。
準備が整っていないのはこちらじゃないのに、なぜか責任は制作側に押し寄せてくる。

ケース2:レビューが遅れてスケジュール崩壊

「すぐに確認して戻します!」という言葉を信じていたら、戻ってきたのは1週間後。しかも修正は2往復分。それでも納期は変わらず、結局チーム全員で深夜対応。
納期を守る前提で動いていたのは、制作者側だけだった

ケース3:「確認に時間がかかるのは“忙しいアピール”?」

「こちらは遅れないようにお願いしますね!」と釘を刺されたものの、毎回“確認に時間がかかってしまって…”という返信がギリギリ、または過ぎてから届く。
担当者の「遅れてるのは私のせいじゃない」的なオーラを察しつつも、スケジュールのしわ寄せはなぜかこちらに。
“仕事してる感”を出すパフォーマンスに付き合わされるのは、なかなかしんどい。

解説

納期・スケジュールというのは、双方が“守るべき約束”のはず。
しかし現実には、「発注側は守らなくても仕方ない」「制作側がなんとかしてくれる」という空気が漂っていることが多い。

その背景には、「発注者=お客様=立場が上」という誤解があるケースも。
本来、プロジェクトはチームプレイであり、納期を守るには全員の協力が必要。
特に素材の提供・レビュー・判断の遅れは、制作の遅延や品質低下に直結する。

“スケジュールを守る意識”をクライアント側にも共有してもらうことは、制作側の労働環境と成果物のクオリティを守るうえで非常に重要なポイントになる。

解決策

スケジュール表に「クライアントの対応期限」も明記する

素材提供・確認戻しなど、クライアント側の締切も明文化して共有。

遅延のリスクを事前に説明

「○日遅れると納期も○日後ろ倒しになります」と、因果関係を可視化。

予備日をスケジュールに組み込む

最初から“遅れ”を想定したバッファを持たせることで、慌てず対応できるように。

書面で合意する

見積書や契約書に「納品は必要素材・確認対応が予定通り行われた場合に限る」などの文言を入れる。

まとめ

スケジュールは、一方的な「お願い」ではなく、
プロジェクトメンバー全員で守るべき“共同責任”のはずです。
しかし、発注側の遅れが軽視され、そのしわ寄せを受けるのはいつも制作側。そんな構造が続く限り、良いものづくりは実現できません。

「納期は守って」と言うなら、自分たちもきちんと素材や確認の期限を守るべき。
制作チームの頑張りに甘えるのではなく、“共にプロジェクトを進める仲間”という意識で動いてほしい。

  • ・ クライアントの遅れも、納期に影響することを明確に伝える
  • ・ 曖昧な“お願いベース”ではなく、ルールと仕組みで共有
  • ・ 全員で納期を守る体制をつくることが、最良の成果につながる

理不尽な時間圧縮から脱し、誠実な進行管理でより良い制作環境をつくりましょう。

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